かしの木山生物倶楽部
かしの木山の自然破壊
2011年以降急速に失われるかしの木山の自然
2011年に公園の管理が愛護会への委託から市が直接管理する形になって以降、かしの木山を明るい公園にしようと再開発が行なわれています。
その事自体は悪い事ではないのですが、残念ながらこの工事はそこに棲む生き物に対しまったく配慮がなされていません。
特に2013年に完成をみる谷戸部分の散策路の設置は多くの生き物に多大な被害を与えました。
ボランティアの方が手伝っているようですが、その善意が自然破壊をするという悲しい結果になっています。
ヤマアカガエルの産卵の激減
ヤマアカガエルは東京都環境局の定める保護上重要な野生生物、レッドデータブックで絶滅危惧TB類に指定されている生物です。
ランクから言えばオオタカよりも貴重な生物です。
かしの木山では池から奥の谷戸部分に棲息しています。
例年、2月から3月にかけて産卵の為、池に集まり池のあちこちに沢山の卵を産み、池中卵塊だらけといった風になっていました。
ところが2013年、散策路が谷戸に作られてから産卵が激減してしまいます。
成体の生息域の木を伐採し道を作り、光を入れ乾燥させたのですから、ヤマアカガエルにとっては大きな環境変化だったことでしょう。
この路を作るに際して、何ら調査はなされていないか、もしくは知っていても無視をして工事を行なったのか。
本来、町田市は率先して保護をしなければいけない立場だと思うのですが、これは酷い話です。
公園の管理所長、市の公園緑地課は何を考えているのでしょうか。
東京都環境局に伝えるべき事かも知れません。
市の公園緑地課担当者はすぐに谷戸部分の散策路を封鎖し、ヤマアカガエルの保護をするべきです。
クロヤツシロランの壊滅
1981年に新種である事が確認された植物です。千葉、神奈川、静岡、愛知などで確認されていますが全国分布はまだはっきりしていません。
現在環境省は、地域個体群として指定しています。生物地理学的に重要な生物という意味です。
腐生ランの仲間ですので自身で光合成などは行なわず腐った落ち葉を栄養素として生育します。
腐った落ち葉を養分とするため、かしの木山では池の脇の薄暗いジメジメした林に自生していました。
しかし、2013年、この自生地は潰され散策路とされてしまいました。
これもまたヤマアカガエル同様、何の調査もなされずデタラメに散策路を設置した被害となりました。
元々、かしの木山でも限られた場所にしか生えていませんでしたので、今回の工事による被害は壊滅的であると思われます。
野鳥の水場の喪失
かつて池の奥の小さな流れは多くの種類の野鳥の訪れる水場でした。
オオタカを始めツミやノスリといった猛禽類、トラツグミ、アオバト、ミソサザイなどなど、かしの木山で見られるあらゆる野鳥が来ては水浴びや水の補給をする場所でした。
しかしこれもまた散策路を通されることにより人の通行のために鳥の寄り付かない場所となってしまいました。
なぜこのような馬鹿げた工事を町田市が行なったのか疑問ですが、町田には自然科学博物館などが無く、しかるべき知識者である学芸員などがおりません。
生物科学的判断のできない土木的知識だけの職員による考え無しの企画で工事が行なわれたのではないでしょうか。
残念なことです。
カワラケツメイを刈ってしまう
カワラケツメイはかつてはどこでも見られたマメ科の植物です。
しかし、気付けばいつのまにか生育地は失われ自生している場所はとても少なくなりました。
東京都では絶滅危惧U類に指定されています。
かしの木山では主に二箇所で自生していますが、管理人がそれを知らず刈ってしまいます。
貴重な植物であるにも関わらずそれを知らぬ管理者が刈ってしまうというのがかしの木山の常となっています。
背の高い草叢の喪失
草原がさえあれば生物多様性に対応していると考えているのでしょうか。
実際は背の低い草原から背の高い草叢まで多種の環境が無ければいけません。
とくに近年、背の高い草叢は貴重な存在になってきています。
以前のかしの木山では背の高い草叢を意図的に残していましたが、愛護会の管理が解かれてからは綺麗に刈られてしまいます。
背の低い草原ではバッタの仲間が多く見られますが、ウマオイ、アシグロツユムシといったキリギリスの仲間は背の高い草叢でなければ見られません。
東京都指定のの絶滅危惧U類のショウリョウバッタモドキも同様の場所に生息しますが草叢の減少により数を減らしています。
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